僕が小学生かその頃のテレビCMか何かで、
「トマトは切って皿に盛り付けて、ドレッシングをかけるだけでサラダになる。」
そのCMがとても印象深く、子供ながらに納得していたことを覚えている。
そのCMを見て、すぐに台所に行き、冷蔵庫を開け、キンキンに冷えたトマトを輪切りにし、皿に盛り付けてドレッシングをかけた。
普段は箸を使うところだが、フォークを使っておしゃれに食べたりして、結構楽しかったし、それは紛れもなくサラダだった。
小学生の頃は外で遊ぶ機会が多かった。僕の家の前が公民館で、その隣には小さな空き地がある。
野球をするには狭いが、鬼ごっこや缶蹴りなどをするには十分な広さだ。
そこでたくさん運動して喉が乾くと、すぐ目の前にある自宅に行き、飲み物を飲むのだが、ある時はオレンジジュース、そしてある時は牛乳、いい時はポカリスエット。何もない時は水で我慢。でもほとんど水ということはなく、何かしらの飲み物を飲んでいた。その中でハマったのが、缶に入っているトマトジュースだった。父親がジャンボ市かどこかで大量に買ってきて、当時はほぼ毎日、好きなだけ飲める状態だった。今考えると何という幸せだろう。
プルタブが付いていない缶なので缶切りで穴を開けて飲む。
飲み口の他に反対側にも穴を開けるのがポイントだ。
そうすれば、缶ジュースよりも早く飲める。
小学生には時間がないのだ。
勉強はしなかったが、遊びで不自由したことはない。
これからはその代償として、優秀なサラリーマンとして高給取りにはなれないが、地道に仕事をしなければならないし、その時に一番お世話になったトマトを作る農家になるとは、当時の僕は思いもよらない事だろう。
でも、全く後悔はしていない。案外、トマトの美味しさをみんなに伝えるために、僕が今まで経験した事は、決して無駄ではなかったはずだから。
そして、これからもその夢を現実にするべく、頑張っていきます。
僕の夢のトマトができた暁には、どうぞ食べてやってください。
その時が待ち遠しい、今日この頃です。