「なぜ農業?なぜトマトなのか?」この質問は面接の度だったり、知人に「農業をやることにした」と告げる度に、幾度となく繰り返されてきた定型文のようなものだ。

いっその事、名刺か何かを作って、そちらに質問の答えでも記載していれば、返答に困る事もないだろう。

返答に困るというのは、明確な答えがないという事ではなく、個人の価値観を文章で説明するにあたり、語り手と聞き手がほぼ同じ思考で物事を考えるタイプでない限り、伝えきれない部分が存在してしまいます。

そういう部分が実は一番大事なところであり、そこが本質です。

いくら人にわかってもらえるように言葉を並べても、その本質的な部分を言葉にすると、「農業が好きだから」だとか、「トマトが気に入ったから」という本当に言いたい部分が弱くなり、「農業は、人のためになる職業だと思うし、生きている実感が湧くし、苦労の先に成果がある職業だから、農家になりたいと思った。」という少し弱い文の羅列になってしまう。これでは、僕が面接官ならば何も伝わらない。だから面接の度にどこか嘘をついているようで嫌な気がする。

今までの面接で話した内容には一切の嘘はついていないが、どうしても言葉では言い表せない部分が存在する。

それが、「農業が好きだから」という言葉をプラスすることによって完結することができる。やはりそこが本質なのだろう。

では、なぜトマトなのか?

それは単純明快!

トマトは、管理が難しいが、夫婦でしっかりと稼げば十分な収入を得られる品目だからだ。

他の候補はきゅうり。

きゅうりは、ハウス栽培もできるが露地栽培を行うことによって初期投資を少なくすることができるのがメリットだろう。

しかし、収穫期のきゅうりはとてつもないスピードで大きくなる。

1日に2回転の収穫が必要になるだろう(多分?)

そうなると、必然的に雇用に頼らなければならない。

私たちの目標は、できるだけ雇用に頼らずに夫婦でできる農業をやることだ。

そういった点で、きゅうりを大規模にやることは難しい。

ピーマンも良い品目だが、やはり単価が高いトマトに惹かれてしまう。

そして、トマトは家族全員が大好きな食べ物で、僕は時々、トマトパスタを作って家族に振る舞う。

それが結構好評で、一時期は「料理人でも目指すか?」と勘違いするほどだった。

それは、料理人だった父の影響なのか、息子の僕にも父の遺伝子がしっかりと残されている証なのだろう。

でも、父も色々と苦労していたので、僕も全く同じ道に進むのは気が引けるのだ。

ならば、さらに料理を掘り下げて考えると、作物を作ることも料理の一環なのかもしれない。